砂漠。

2002年10月25日
砂漠で力尽きようとしていた。

仰向け、そして今は夜。

余りにも、その砂漠と満月が美しすぎて胸が軋む。僕はそれなりに生きて、でもそれは嘘のようにも思え・・。

気配がした。それは人のような、獣のような気配がした。

寒さが、体の体温を奪おうとしていた。耳鳴りと、それに千の針の痛さ。そのせいの虚像なのか、僕は疑った。

自分は、今まで人に責任を押し付けてきた。それは、やっぱり重過ぎたからかもしれない。

でも、それはなんとかすればいいし、手を取り合えばいいし。気配は、やっぱり漠然とあった。どこにその気配があるのか、僕は知らない。

でも、何故かその嘘に僕は落ち着いていた。嘘は、なるべくつかないように。それでも、僕は嘘に守られた。そのおかげの強さ。

満月は、まるでぽっかりあいた空の孔。多分、向こうには現実からの逃げ道があるんだろう・・。

朦朧とした頭の中、そんなくだらないことを考える。

“死にたくないなぁ”

そんな考えはいつの間にか消えていた。

やさしい嘘が、隠してしまったようだ。哀しさはない。

投げやりでもなく。

骨の冗談でもなく。

どっかのセカイの僕でもなく。

花束の君でもなく。

瓦礫の牢獄の謳でもなく。

血液の絶望でもなく。

適度な心の隙間の中、僕は泣く。
また、僕は駄目になりそうになった。

すると、気配は言う。

《お前は死なない》

嘘の嘘。それは少し、哀しかった。言って欲しくなかった。

“冗談も程々に”

笑った僕。その笑いは、ちょっと嫌味も混じってた。

自分が、物理的に声を発しているか?耳は答えない。脳も教えない。

それでいいよと気配は言う。

やさしく、精悍な声。それから

《おやすみ》

“おやすみ”

僕は眠った。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

日記内を検索