囚われの姫君は、夢を見る。

暖かく、静かな夜の星たちを見る。

月は、まるで白く輝くなにかのように美しい。
笑っているように。まるで、穏やかに鮮やかに死に逝く何処かの聖者のように。

姫君は神を信じてはいなかった。

姫君は悪魔を信じてはいなかった。

ただ、近くの恐怖を信じていた。

現実に、ただ凄惨な世界に戻る姫君。恐怖は、いつもの傍らに。そして、久しく聞いていない、あの音と気配。


騎士は、凄惨に剣を奮っていた。誰とも知れない、何者でもない世界のなにかに。

ただ、奮っていた。重い体に、重い剣、血・・・肉。

星に、願う。

ただ、願う。たとえ、夢の続きだとしても。雲は、その星々を飲み込まない。悪夢も、まだ飲み込んではくれない。

空は、星々の群れ。美しく、何処か悲しげ。

ああ、自分の様だと騎士は謳う。

擦れた心臓で。

すべては剣に口づけをした過ちなのだろうか?

騎士は、考えた・・・・

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