《ラヴ・サバイバーその2》

「で?」

「で?」

「ほいで?」

「ほいで?」

「だから〜」

「にゃ?」

「もうネタ切れ・・帰れ」

「ゴメンなさい」

アコはすぐさまそう云うと貸してもらった服に着替え、タオルでくしゃくしゃになった髪を無造作に拭く。

あれからアコは、ただ釈然としない気持ちのままフラついていた。後ろに倒れている好きなアホは朴っておいて、ただボンヤリと歩いていた。

「アコさ、あんな格好で歩いてたら危ない方々に拉致されてたかもよ?」

「ゴメンなさい、アリカ様」

アリカと云われた女(ひと)は、まったく、と云ってさっきまでの形相を沈める。

「・・だいたい、私があの場所歩いてなかったらアンタ肺炎にでもかかってたかもしれないんだよ?」

「ゴメンなさい」

アコは、がんとして述べようとしなかった。

「・・・素直じゃないね。助けてやったとは云わないけど・・」

アリカは、やんわりとした顔でアコの顔を見る。

「・・・話してみない?このアリカに。それとも?スニーク?にでもなる?」

そうアリカが云うと、アコはまたそれ?と言葉を返した。

?スニーク?

彼女が好きな空想の産物。

意味は

「卑怯者。アコ、素直になりなさい。素直さが欠けていくと、アンタもスニーク?卑怯者?になっちゃうよ」

アリカはそう云うとアコにポタージュ缶を渡した。まだ温かい。

「ほれ、アンタがフラついて場所を通ったときの缶ですよ。土産です。アコ・サルベージ計画が成功した祝いかな・・ま、暫定的なね」

アリカがそう云いながら笑うと、アコは少し心の壁が崩れる。ポタージュの、温かさに似たアリカのやさしさに。

「あ〜と、家にはそれなりな連絡したから。安心すると良いぞ」

アリカはそう云うと、また、笑った。そしてまた、アコの?壁?も崩れ去っていく。

でも、泣きたくはない。さっきシャワーを浴びながら何度となく自分は泣いたから。

「・・・・まあ、あの男は未練がましく今日もフラっとしていた訳ですか?」

アリカは、自分の好きなポタージュ缶をビニール袋からまさぐり出す。アリカのお気に入りの缶で、あの?鉄骨のモノリス?と呼ばれる場所近くにしか売ってない。休日の雨にも関わらずアリカは鬱陶しげに買いに走った。そして、その自販機から離れた場所でアリカは、フラフラとまるで夢遊病患者のように歩いていたアコを発見する。

そして、<アコ・サルベージ計画>は実行されたのである。

「うぅ・・」

アコは、嘘泣きを演じようとする。それは、本当に泣くという口実の裏表でもあった・・。

そして、知らずにアコはその涙を流す。その後、彼女の口から止めどなくアホへの思いがダダ漏れして行くのだった・・・・

私たちはサバイバー、恋に生きる乙女。

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